胃がん

胃がんについて

ピロリ菌胃粘膜の細胞が変化してがんが発生し、増殖したものです。胃がんリスクとして特に大きく関与すると考えられているのがピロリ菌感染です。ピロリ菌に感染していると胃粘膜に慢性的な炎症を生じ、炎症が進行して萎縮性胃炎を発症すると胃がんリスクが高くなります。
胃がんは早期に発見できればそのほとんどが楽な治療で完治できますが、早期には自覚症状に乏しく、進行しても軽い胃炎程度の症状しか起こさないことも多いため、発見が遅くなりやすい傾向があります。胃カメラ検査は胃がんの早期発見と確定診断が可能な唯一の検査です。症状がなくてもリスクが高くなる40歳を超えたら定期的に胃カメラ検査を受けることが、早期発見には有効です。

症状

ある程度進行すると、胃やみぞおちの痛み、胃の不快感、胸やけ、吐き気、食欲不振、つかえ感などを起こすことがあります。さらに進行すると、腹痛、腹部の不快感、めまい、息切れ、吐血、黒いタール便、全身倦怠感などの症状を起こすこともあります。疑わしい症状があった場合にはできるだけ早く消化器内科を受診して原因を確かめましょう。

原因

たばこはっきりとした原因はわかっていませんが、発症リスクを高くする要因はいくつもわかってきています。特に大きな要因とされているのはピロリ菌感染です。ピロリ菌は幼少期に感染して持続的な炎症を起こし、炎症が進行すると胃がんリスクが高い萎縮性胃炎の発症につながります。他にも過剰な塩分摂取、野菜や果物の摂取不足、喫煙、飲酒、ストレスなどの関与も指摘されています。

ピロリ菌はこちら

胃がんの種類

胃壁から発生する腺がんが多く、腺がんは分化型胃がんと未分化型胃がんに分けられます。スキルス胃がんは粘膜の深い部分に広がることで発見が難しく、進行してから見つかるケースが多くなっています。

分化型胃がん

がん細胞が、まとまった状態で増殖するタイプで、高齢者や男性に多い傾向があります。未分化型がんと比較した場合、進行がゆるやかで悪性度が低いとされています。

未分化型胃がん

がん細胞が散らばるように増殖するタイプです。未分化型がんは萎縮のない粘膜に発生し、若年層に多い傾向があるとされています。若い女性に多いスキルス胃がんは未分化型が多いとされていますが、未分化型でもスキルス胃がんではないケースもあります。

検査

胃がんの主な検査方法として、「造影剤を使ったX線検査」と「胃カメラ検査(内視鏡検査)」があります。

造影剤を使ったX線検査

造影剤を服用してX腺撮影を行い、胃の状態を確認する検査です。胃カメラのように微細な病変を発見することはできず、疑わしい病変がある場合には別途胃カメラ検査を受けて確定診断する必要があります。こうしたことから、胃がん検診には最初から胃カメラ検査を受けるようお勧めしています。

胃カメラ検査

胃カメラ検査口や鼻から内視鏡スコープを挿入して、食道、胃、十二指腸などの上部消化管の粘膜を直接観察できる検査です。特殊光や画像処理などによって、微細な病変を短時間に発見することができます。検査中に組織を採取して病理検査を行うことで幅広い疾患の確定診断も可能です。胃がんの早期発見には、リスクに合わせた頻度の定期的な胃カメラ検査が有効です。

胃カメラ検査はこちら

造影剤を使ったX線検査をお勧めしない理由

服用した造影剤が胃の表面に付き、X腺で撮影した画像には病変が凹凸として現れます。ただし、凹凸のない病変は発見できません。早期の胃がんは平坦で凹凸がほとんどないものも多いため、X線検査では発見できないケースが増えてしまいます。
胃カメラ検査では、粘膜の状態を解像度の高いカメラで詳細に観察できますので、微細で平坦な病変の発見が可能です。特に当院ではがん細胞が周囲に集める毛細血管の分布や粘膜表層の構造を精緻に観察できる最新の機能が搭載された内視鏡システムを使って検査を行い、早期発見に努めています。
造影剤を使ったX線検査で発見できるものは胃カメラ検査でもほとんどが発見できますが、胃カメラ検査で発見できるものの多くが造影剤を使ったX線検査では見逃されてしまいます。また、スキルス胃がんのように粘膜の深い部分に広がる胃がんは造影剤を使ったX線検査の方が発見しやすいとされていましたが、現在では内視鏡システムの機能が向上したことでその差もほとんどなくなってきています。
さらに、造影剤を使ったX線検査で疑わしい病変が発見された場合、確定診断のために改めて胃カメラ検査を受ける必要があります。胃カメラ検査では、確定診断まで可能です。さらにX線検査には軽いとはいえ被ばくのリスクもあります。こうしたことから、当院では最初から胃カメラ検査を受けるようお勧めしています。

検査で異常なしでも症状が続く場合

胃カメラ検査も、検査機器や環境、医師の技術などによってクオリティの差が大きく、粘液などが付着して病変が見逃されてしまうケースもあります。さらに、粘膜に異常はなくても機能的な問題で症状が起こる疾患もあります。当院では、「日本消化器内視鏡学会専門医」が最新の高度な内視鏡システムを使って精度の高い検査を行っており、消化器疾患に関する広範な知識をもとに診断しています。胃カメラ検査を受けて異常がなくても症状が続く場合も、お気軽にご相談ください。

胃がんの治療方法

胃がんと確定診断された場合、状態や全身状態などに合わせて最適な連携高度医療機関をご紹介しています。治療は主に、内視鏡による治療、外科手術、化学療法が行われます。早期であれば心身への負担が小さく、高い確率で完治が期待できる内視鏡による治療ができる可能性が高くなります。外科手術では、胃全体の切除や2/3以上の切除を行う定型手術、一部を切除する縮小手術、周囲も切除する拡大手術などがあります。
化学療法は抗がん剤を用いた治療であり、手術後の再発予防として行われることもあります。

TOPへ